製缶とは、「水を入れても漏れない容器を溶接工程にてつくること」と解釈しています。
水が漏れない様に、連続した溶接作業を行える卓越した溶接技術力が問われます。
一言で「溶接」と片付けてしまいますが、これが奥深い。スチールとステンレスと対話して、組み立てたい部材の双方ともを同時に目と手先で様子をうかがいながら、双方の溶け具合、ビートの出来具合を感じとり進めていくのです。
息を止めて行う時の方が多いかもしれません。
組み立てたい部材の材質・表面仕上り・板厚などから、溶接作業で重要な電気(電圧・電流)のバランスを調整したり、板厚に対して脚長を確保するためのウェーヴィング技術も必要になったり、溶け落ちる相手(材料)と対話しながら上へ向かって進んだり、全く上向きの姿勢で行ったりと、「溶接」における技術は底がありません。
そして、忘れてならない事が、「熱ひずみ」です。熱を加える事で局部的に一旦膨張します。
その後、熱を拡散し、放熱し、冷えていくと、今度は収縮します。これが繰り返されるとどうなるでしょう。
ひずみ、ゆがみが生じて、真っ直ぐのものが、曲がっている・・・。縮んでしまって必要な寸法が材料と溶接量と加味して、あらかじめ長い寸法から作り出す事が必要な場合も製品によってはあるんですね。生涯、修行でしょう。
昨日より今日、今日より明日の向上心が常に必要です。
出来上がった容器やタンクに水を入れて、漏れなかった時の溶接者の顔は、満足感でいっぱいです。
特殊車両の背中に載せるタンク
特殊車両の背中に載せるタンクです。
どうやって板取りすればよいか。考えるだけで頭が痛くなりますね。
図面寸法通りの製品と出来るかヒヤヒヤドキドキです。
粉経違いのものをふるいにかけるタンク
粉経違いのものをふるいにかけるタンクです。
タンク部分は、オールステンレスです。
ステンレス製品は、溶接して焼けた部分の処理が大変っ。
ボイラー熱交換のためのタンク
ボイラー熱交換のためのタンクです。
蒸気の高い圧力にも負けない構造、材料です。
高温になった時に、溶接がはじけない様に、しっかりと溶け込ませて、漏れないものをつくります。
冷却用熱交換のためのタンク
冷却用熱交換のためのタンクです。
タンク内部の冷却水の中に、温度を下げたい流体を通すための配管が蛇のようにグルグル回してあります。
その配管作業も体が入る寸法で計画をします。
オールステンレスのスクリューコンベア
オールステンレスのスクリューコンベアです。
鋭角部分の溶接と仕上げがなかなかうまくいきません。道具がうまく入らないのと、目が届かないからです。
こんな時、みんな少しイライラします。でも出来上がった時には、すっかりチャラで、喜びの方が大きいです。
オールスチールのスクリューコンベア
こちらは、オールスチールのスクリューコンベアです。
比較的大きなものです。中間に軸受けが設置できないものは、スクリュー羽根の精度が肝心。
OKが出るまで何度も検査します。